きょうの一歩 【難病を抱える息子きょうちゃんとの日常】

難病を抱えて生まれてきた息子、きょうちゃんとのちょっと変わった家族の日常とこれまでの歩み

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【フォンタン手術に伴う入院の記録前編】術前説明と、手術からICU生活まで

 

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お久しぶりです!かややです。

世間ではコロナウイルスが猛威を振るっていますね。2月の初頭から息子が入院し、病院と自宅の往復生活に明け暮れ、退院してからは基本的に引きこもっている私としては、どうも世間がコロナウイルスに阿鼻叫喚している様子をどこか少し離れたところから見ているような感覚がありまして…(休校の被害を被る?皆さま本当にお疲れ様です…)

それでも夫は仕事で人と接するし、それなりに危機感は抱いているんですけども…あと、トイレットペーパー。残り4ロールしかないんですけど…

 

さて、手術を終えて今日で25日目になりました。そろそろ一か月が経とうとしています。すっかりきょうちゃんとの日常が帰ってきました。

朝起きてすぐままに会え、テレビを観つつ好きなことを好きなだけして遊び、天気が良ければ近くの公園でブランコに乗り散歩をし…手術前と変わったことと言ったら昼寝をほとんどしなくなったことくらい。たまに変な時間に昼寝をすることはあれど、朝起きて夜眠るまで元気に遊んでいます。

私はというと、きょうちゃんの退院後から燃え尽きたような感覚があり、なかなかイラストを描いたり文章を書いたりしたいという気力が湧かない日々を過ごしています…張りつめていたものが緩んだからかなあ。でもこのまま書かないでいると忘れてしまうし…と何とか自分を奮い立たせてまとめました。

自分の記録用という意味合いもありますが、これからフォンタン手術を予定している方が見通しをもてるような記事になっているといいな。きょうちゃんは術後の経過がよかったようなので、どちらかと言うとスムーズに進んだ例として見ていただけるとよいかと思います。

 

フォンタン手術の概要と質問

手術の概要

今回きょうちゃんが受けたのは、下半身の血流を心臓を通さず(普通は心臓を通る)肺に直接流れ込むようにするために、下大静脈と肺動脈を人工血管で繋ぐ手術。フォンタン手術にも色々な方法があるそうだけど、きょうちゃんは人工血管を使うパターンになった。細かな説明は端折ります、詳しく知りたい人は「フォンタン手術」で検索だよ!

医師からはなぜ今フォンタン手術を受けなければならないのかを丁寧に説明された。今急いでやる必要はないのに、何かしらのリスク(小さなことから命に関わることまで全て含めて)が生じる可能性が10%あるということに納得してもらう必要があるからかなと推測した。

今はサチュレーション*1が80台でチアノーゼ*2があっても本人は元気そうだし、脳に酸素が足りなくなって…とか成長に影響が…という問題はないけれど、4歳以降になると色々と問題が出てくるらしい。だからその前にやりましょうね、というような説明だった。

医師への質問

ーー以前二心室修復でいくのか一心室修復でいくのかの分かれ道にいたときに「状態の悪い二心室よりも、状態のいい一心室でいきましょう」と言われました。それに息子の場合、左心室が全く無いわけではなく七割はあります。前言われていた通り、フォンタン後は一般的な単心室の子と比較して「よい」状態になりうるのでしょうか?

医師:フォンタン後の満点が100点だとすると、80点くらいの状態にはなるでしょう。50点くらいから手術をする子もいるから、めちゃくちゃいいわけではないけど、まあいい方かなという感じです。

心室があればそれだけよいというわけではなくて、バランスの問題が大きい。七割あってもそれでうまくバランスが取れなければ意味はない。

 

ーー新しい循環に慣れるにはどのくらいの期間が必要ですか?

医師:3、4週間は必要です。

肺に今まで1の血液量(上半身からの分)が流れ込んでいたところに、フォンタン後は2(上半身からの分+下半身からの分)、つまり倍の血液が流れ込むことになる。これを肺が受け止め切れるかどうかが適応できるかどうかに関わってくる。肺の血液床というところのキャパシティに寄る。血液床が受け止めきれないと肺から水分が染み出す→その肺の周りに溜まった水分が肺を圧迫する→肺が縮こまり、血液床が減る→さらに水が染み出す…という悪循環に陥ってしまうとまずい。いきなり1→2にならないように、体の水分量をコントロールしながら1.2、1.5…と少しずつ肺への血流を増やしていく。

ーー人工血管は今後交換の必要はないサイズのものを使うと聞いたのですが。
医師:サイズ的にだけ見ると大人になっても交換の必要はないと言える。ただやはり人工物であるし、中に血液の塊がついたりとか何か問題が生じることもありうる。20年後もそのまま使えるかという保証はできない。再手術の可能性も否定できない。
今のフォンタン循環のデータは長くても40歳くらいまでだけど(比較的最近できた手術法だから)、人工血管が原因でだめになったとかそういう例はあまりない。
恐らく直径が16mmか18mmのものを使う。息子くんの身長が将来的に160cmくらいまでなら16mmだけど、170cm以上になりそうなら18mmかな。お父さんとお母さんの身長は何cmですか?…う~ん、170cm行きそうだねえ。18mmかな。(直径18mm、長さは約5cmの人工血管を入れました)


フォンタン循環になると最初は気持ち悪い感覚があると思う。今までとは血液の流れが変わるから、本人はしばらく気持ち悪いだろう。グレン手術の後は逆立ちしているような感覚だしね。なんてことも言っていたけど、どうなんだろう?きょうちゃんのように自分の状態を説明できない子ではなくて、意思疎通や会話ができる人に聞いたら「たしかに~!」となるんだろうか。

 

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手術からICU生活まで

手術当日

8時半 手術室へ見送り

いつも手術室へ見送るとき激しく泣くきょうちゃん。手術室に入ってから麻酔で眠るまでにやることが少しあるようで、その間たくさんの大人に囲まれながらこれから何をされるのかと恐怖で涙するきょうちゃんを思うと、後々何かのトラウマにでもなるのではないかと心配だった。だから手術室に向かう前にうとうとさせてあげられないかとお願いしてみたんだけど、病室で使える薬の種類が限られること、病室では手術に携わる麻酔科医が立ち会えないこと、事前に何かしらの薬を使ってしまうと手術室での麻酔のかかり具合が読めない(それだけ今回は慎重にやりたかったよう)ことなどの理由からそれは出来ないということだった。心は心配だけど、命の方が大事だ。結局いつも通り手術室まで抱っこしていき、扉の前で看護師さんにきょうちゃんを引き渡した。きょうちゃんは泣き叫び体をこれでもかと反らして抵抗するも空しく、看護師さんに抱かれ去っていった。


今回の手術には大きな緊張感を持って臨んだ。

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これまで4回必要だと言われていた開胸心臓手術の4回目。これを乗り越えれば一先ずこの先成長していけるだろうという手術。でも一度心臓を止める必要がある大掛かりな手術だ、時間もかかるだろう。胸を開くのは4回目だから癒着もすごそうだ、はがすのに時間もかかるだろう…夕方頃には呼び出しがかかるといいなあ。

と、思っていたら。

12時半頃 手術終了の報告

めちゃくちゃ早かった!!!!思っていたよりあまりに早く呼び出しの電話がかかってくるものだから、何かあったんじゃないかと夫と戦々恐々としながら電話に出たら、

「無事終わりました。どこにいらっしゃいますか?」

だってさ…漫画だったら二人とも肩の服がずり落ちていたよ。でも本当に本当に良かった。フォンタン手術は手術自体よりも、循環が変わった手術後の方が心配だとはわかっていたけど、それでも手術が無事終わりましたの報告には胸を撫でおろした。

14時過ぎ    ICUにて面会

ICUに入って、懐かしさを感じた。音がICUなの。色々な器具やモニターの電子音の海(かっこつけちゃった)にいる感じ。それぞれ刻むテンポが違うから、規則的に聞こえたりリズムが変化したように聞こえたり、重なって音が減ったように聞こえたり…もちろん一般病棟でも聞こえる音はあるけど、ICUは音が独特なんだよなあ。ICU経験者ならわかってくれるかな?
きょうちゃんが生後まもない時期、病児母としての覚悟もなく現実も受け入れられないまま通ったあのICU通いの日々が思い出されて、ベッドで眠るきょうちゃんを見て大きくなったなあと感動してしまった。
手術直後のきょうちゃんには、体内の水を抜くためにお腹から入っているドレーンが3本、両手に3つ、首から1つの点滴のルートに尿道カテーテル…たくさんの命を繋ぐ管に、ちらりと見えた胸の傷が痛々しい。それでも顔色は良いし、なんと上半身は既に服が着せられていた。(術後はおむつ一枚のイメージだった)
気管挿管をしていたがフォンタン手術後は自分でする呼吸の方がよいということだったから、なるべく早く明日の朝までには離脱したいということだった。昨日までは気管挿管は2、3日は続くだろうと言われていたので驚いた。(結局夕方には気管挿管から離脱したよ。)
モニターを見ると、心拍数は術後にしては概ね120前後と落ち着いている。血圧も特に問題はなし。
そして、サチュレーションは、待望の100!!!
初めて見た!気管挿管をして酸素吸入もしているとはいえ100になったのは嬉しい!
肌の色の変化はまだよくわからないけど、唇の色がとても薄くなった。血色がいい。以前はピンクに赤紫をちょっと足したような色味だったのが、薄いピンク色になった。

医師の術後の説明によると、サチュレーションは後々92くらいで落ち着くだろうということだった。それでも日常生活に問題はないし、息苦しさを感じることはないらしい。小学生以降はマラソンなどの激しい運動は避ける必要があるとのことだが、それ以外の制約はあまりないそう。そして、大きな問題もなく終えた、今のところ問題なく新しい循環で回っているというコメントをもらって安心した。

夕方目を覚ましたきょうちゃんは私たちの姿を認めるなり小さな声で泣き出し、周りの様子を伺って、少し体を動かして、さらに泣いた。鎮静剤が投与されているのでなだめているうちに眠ってしまったが、ここからがしんどいんだよなと胸が痛んだ。

 

術後1日目

1日目にして強い強心剤から弱めの強心剤に少しずつ切り替えられ、首からの点滴が手や足に切り替えられた。手術当日の夕方には抜管されていて、それ以降100あったサチュレーションは93と落ちていたが、問題はないそう。鎮静は使っているものの、昨日より覚醒している時間もあってしんどそうだった。起きてる時間は基本ぐずぐず。大人しくなんてしていられない。私はまだやってあげられることも少なく、ただただ頭を撫でて、タオルであおいで、かゆそうなところをかいてやることくらいしか出来なかった。

栄養の注入も開始していた。それとは別に口から50cc麦茶を飲めた!喉が渇いていたんだなあ。
寝ているとき普段と違って瞼が少し開いているのが気になったけど、鎮静剤を使って寝ている子はたまに開いていることがありますよ~と医師は言っていた。

 

術後2日目

少し体を起こしてDVDを観ながら栄養注入中だった。私たちのことを見た瞬間号泣…心臓的には我々はいない方が良さそうである。泣くのをあやしていると抱っこしますか?と提案された。
ええ…!?!?抱っこ!?!?もういいの?痛くないの…???
戸惑いながらも夫が抱っこ。すんっ、と泣き止むきょうちゃん。きょうちゃんも抱っこいいんですか?と言いたげに少し戸惑っていたように見えた。しばらくするとぐずったので私と交代。眠かったのか、抱っこのまま寝落ちたのでしばらく抱っこ。11キロは重いね…
医師は胃はいまいち動きが悪いけど、大きな問題とは考えていない。気長に待ちましょう、と言った。生後1か月でノーウッド手術を受けたとき、1ヶ月以上胃が動かなくて、胃をすっ飛ばして十二指腸までチューブを伸ばして腸に直接栄養を入れていたことがある。その時の医師が「この子はあまり胃腸は強くないですね」と言っていた通り、きょうちゃんは全身麻酔である程度時間がかかる手術をした後は必ず胃の調子が悪くなるのである。そもそもフォンタン手術自体胃に負担をかける手術だし、胃の動きが悪くなるのは私たちも想定内だった。焦らずゆっくりお願いしますと伝えた。

術後2日目は、まだまだほとんどの時間を寝て過ごす。

 

術後3日目

私たちの訪れをぼんやりと迎えた。私たちを見てもぐずりも反応もしない。恨めしさを感じているのか、余裕がないのかはわからない。眠たかったようですぐに眠りについたが、次起きたときは超絶不機嫌でこれまでで一番大暴れした。身体を反らして跳ねて怒り散らしていた。トリクロを入れるもすぐにきかず、30分以上泣き喚いていたのでひやひやした。そんな大爆発をしたお昼とは打って変わって、夕方はとても穏やかにDVD鑑賞をしていた。痛み止めも入れてもらって楽になったんだろうな。

 

術後4日目

穏やかにDVDを見ていられる時間が増えてきた。鎮静もほとんどなくなってきているからか、起きている時間も増えてきた。そして喜ばしいことに、術後初めて少しだけ笑ってくれた。団扇でそれーっ!と力強くあおぐと気持ちよさそうに笑ってくれた。微笑んだという感じかな。笑う余裕が出てきたら、循環が体に馴染んできた証拠だと先生は言っていた。嬉しいな。少しずつ声も出すようになってきた。毎日夜はすんなりと眠れていたけれど、鎮静の効果が薄くなってきているからか寝苦しそうでなかなか寝付けなかった。

 

術後5日目

ハイケア病棟へ移動!ここから先は後編に。

 

終わりに

サチュレーションに関しては注入中とか、その時のコンディションとかセンサーの感じとかで、92~97辺りをうろうろしていました。ここまで酸素はカニューラでずっと2L吸入。

記録という割に一日一日の記録がうすっぺらいけど、そこは大目に見てやってくださいね。後編へ続く。

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*1:動脈血のヘモグロビンのうち何%が酸素と結合しているかを表したもの。96~99%が正常値だそう。SpO2とも。

*2:血液の中の酸素が欠乏して、皮膚や粘膜が青黒くなること。