林めぐみさんとコラボ!娘のめいちゃんのイラストとめぐみさんへのインタビュー
ツイッターを通してお友達になった林めぐみさんと、ひょんなことからコラボすることになりました!めぐみさんのファンの皆様、お待たせいたしました!
コラボしてみようか、という話が出たのが約半年前…な、長かった…笑
このコラボ記事は、
・めぐみさんへのインタビュー
・めぐみさんの娘、めいちゃんのイケアジクエスト風イラスト
の豪華二本立てでお送りしたいと思います!
この記事公開と同じタイミングでめぐみさんも記事を公開してくださっています。
私かややへのインタビュー記事はこちら!是非あわせてご覧ください。
林めぐみさん
琵琶湖を愛する滋賀県在住の一児の母、林めぐみさん。
コラボ企画をするにあたって、何度かビデオ通話を通してお話させていただきました。
北海道育ちの私には関西弁を話す知り合いはいなかったからとても新鮮でした。めぐみさんも新鮮だったかはわからないけど、私が「なんもだよ~」と言ったら食いついていたなあ。
ツイッターやブログの文章からはいつも温かさが滲み出ているなと感じていたんだけど、お話ししてみて、それはめぐみさんの人柄が表れているからなんだなあとわかりました。
とても温かみがあって優しく、面白い(ツイッター覗いてみてください、よく何かをこぼしていますから笑)方です。
そんなめぐみさんには1人娘のめいちゃんがいます。
現在12歳(2019.3現在)
生まれて間もなく先天性の病気がみつかり、NICUに入院していました。
闘病中の生後七ヶ月の頃病状が急変し心肺停止、低酸素性虚血性脳症により脳に大きなダメージを負い、重い障害が残ることになりました。
歩いたり話したりすることができず生活のすべてにお手伝いが必要な、いわゆる寝たきりの重症心身障害児といわれる状態です。
また、医療的なケアも色々と必要で、 ・気管切開(声門閉鎖、カニューレフリー) ・人工呼吸器 ・胃ろう など、医療の力をかりて生きる医療的ケア児でもあります。
現在はリハビリや受診を続けながら、元気に養護学校へ通っています。
はじめましてのごあいさつ - ぼくらはみんな生きていく
引用の通り、めいちゃんは重症心身障害児で、医療の力を借りて生きる医療的ケア児でもあります。
それぞれ重心児、医ケア児と略されて呼ばれることもありますが、聞いたことはありますか?
めぐみさんにインタビュー!
個人的な印象ではあるけれど、重症心身障害児(以下『重心児』)という存在は、メディアで注目されることは少ないなと感じる。
障害者というくくりでは、例えば24時間テレビなどで障害を持ちながらも何かに一生懸命取り組む姿が取り上げられたり、パラリンピックの中継や特集があったりするから、目にすることは多いような気がする。でも、めいちゃんのように自分では動けない子、なかなか意思をくみ取ることが難しい重心児と呼ばれる重い障害のある子と言うのは、スポットライトを浴びることがあまりないのではないか。
育てる苦労とか、最近の災害関連だと呼吸器の発電機のエピソードとか、重心児をとりまく環境や家族に目を向けられることは多いけど、子ども自身の個性や生活というものに注目されることは少ないんじゃないかなと。私があまり見ていないだけかもしれないけれど…
そう思い、今回はめぐみさんに、めいちゃんのこともたくさんインタビューしてみました!
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重症心身障害児(以下「重心児」)とは、どこまで意思疎通ができるものなの?
ーーめいちゃんはどこまで「わかっている」の?意思疎通やコミュニケーションについて
めぐみ:心肺停止したときの脳へのダメージが大きすぎて機能する脳の部分がほとんど残っていなくて、脳幹と小脳の一部分だけが無事なだけだったのね。医学的に見ればほぼわかっていないってことになるのかなぁ…
もしかしたら何かめいなりのサインがあるんちゃうか!?と思って色々検証(にこっと笑うことがあるから、笑ってくれたらイエスということに仮定してみて、おしっこ出た?とか何食べる?抱っこする?など簡単なことを質問してみることを積み重ねてみた)もしてみたんだけど、結果的にはっきりとこれはイエスのサインだ!と言えるような発見は残念ながら出来なくて。
でも快、不快という二つに分けてシンプルに考えたとして、嫌な時には笑わないだろうなと。笑っていたら少なくとも悪くはない時かなって。推測だけど。
だから、どこまでわかるのかと聞かれたときには、「本人がイエス・ノーをはっきり伝えることはできないけど、快・不快程度なら表情で推測をしています。」と答えているよ!
人の違いはわかってそう。きっと私と夫の違いはわかってるだろうし、家族と先生の違いもわかっていると思う。なんか態度が違うっていうか。「理解」はしていないかもしれないけど、感じているんだろうなって。…親のひいき目かもしれないけど(笑)
一つの目安として伝えるなら、発達検査の判定は8か月相当って言われてる。でも、急変前の7か月までは普通の赤ちゃんだったんだけど、そのころを思い返して比べて、それくらい今しっかりしている?と考えたら…うーん、て感じ。でもしっかり、13歳の女子やわ、と感じる部分もやっぱりあって。
この話題、話してみたいなと思っていたことで、質問してくれて嬉しい!
どこまでわかってるの?って、一般の人からしたら、私たち重度の子の親に聞きにくい質問なんじゃないかなと思ってた。
例えばだけど、初めて見る動物は噛みつくのか噛みつかないのか、わからないと怖くて触れないよね。例えは悪いかもしれないけど、そんな気持ちなのかなって。触れ合うなら、知りたいんじゃないかと。
触れ合ったことが無いとどこまで踏み込んでいいのか、何がだめで何がいいのかということがわからないよね。それで距離を置かれたり腫れ物に触れるような扱いはされたくないし、私個人的の意見だけど、私やめいのことはタブーを作りたくないし、失礼かも、とか思わず何でも聞いて欲しいなぁ。
ーー他の重心児はどうなの?
めぐみ:私の知っている子達だけを思い浮かべても、意思疎通のレベルに幅がすごくあるように感じるよ。一言で重心児(重症心身障害児)と 言っても脳の損傷の程度や部位にもよるんだろうね。
見た目はめいと同じような感じで体は重度なんだけど、ある程度意思疎通が取れるような子も中にはいる。ずりばいができたり、座位の姿勢が取れる子もいれば、目もあいていなくて起きているのか眠っているのかパッと見たけではわからない子もいる。見た目だけではどういう状態にある子かどうかはわからないから、実際に触れ合って知って、感じて欲しいなぁ。
知的には問題がなく運動機能にだけ障害がある子もいるしね。そういう子は重症心身障害児とは言わないみたいだよ。
リンク先の大島分類と呼ばれる分類で見ると、めいちゃんは首も腰も座っていないため最重度のカテゴリに入るんだそう。
めいちゃんが嬉しい時はどんなとき?
めぐみ:とにかく人が大好きな子で、人が側によれば笑うし、抱っこは魔法。最高!抱っこをすると顎が外れそうなくらい笑って顔色が悪くなったりして…心配になる時ががあるよ(笑)
めいが嬉しそうにしているのを見ていると幸せなんだと感じて私も嬉しくなる!
めいちゃんが悲しい時はどんなとき?
めぐみ:在宅移行後すぐの幼い頃はよく泣いていたけど、今は泣くことがほとんどなくなったなぁ。主治医の先生曰く満たされていて泣く必要がないんじゃないの?と。だとしたら、それは、嬉しいなぁ。
そうそう、泣くことがほとんど無くなってからの話なんだけど、かかりつけの病院に入院中の友達に、お見舞いを渡しに行ったことがあって、病棟に12歳以下の子供が入れないので入り口のところにめいをバギーのまま少しだけ待たせてたのね。
お見舞い預けてすぐ戻ってきたら「ひっ、ひっ」って泣きだして。泣いてるのはかわいそうなんだけど、なんだか可愛く感じて、嬉しくて。ひどいかな?(笑)
めいの感情の揺れ動きや、新しいサインだー!って、見つけたら嬉しいなと思っちゃう。
めいちゃんと何をしているときが楽しい?
めぐみ:一緒にごろごろ寝ころんでいるだけでにこにこ笑っているので、一緒にいるだけで楽しいよ!
抱っこするとにっこにこになってくれるからもっと楽しくてずっと抱っこしててあげたいけど、めいの体が大きくなって力も強くなってきて、腰痛持ちの私には長時間は厳しくなってきた…
面白エピソードは?
めぐみ:面白エピソードというか不思議な話なら…。
体の動きもほとんどなく寝返りが全くできなかった頃の話なんだけどね、(今は仰向けから横への寝返りはできるとのこと)
仰向けで寝かせてためいが、私がトイレから戻ってきたらこうなってた。
自分で絶対に転がれない子が一体どうやって…!?ってびっくりした。どないなってんねん…って。今でも何がなんだか、わからへん(笑)
特別支援学校の話
ーーめいちゃんはどんな授業を受けているの?
めぐみ:「みる・きく」「ふれる」「からだ」などの授業がある。
「みる・きく」
音楽やお話の読み聞かせの授業。
「ふれる」
創作の授業。例えば粘土でランプシェードをつくったり。子供達自身の持ってる動きをなるべく活かすように先生がサポートする形で、粘土を手に握らせてもらって感触を味わったり。他に絵を描いたり、1月には書き初めしたり。
「からだ」
体を使った授業。抱っこしてもらってトランポリンやバランスボールに乗って体重移動を体で感じたり、プールに入ったりもするよ。
時間割はクラスによるけど、午前にひとつ、午後にひとつ。
例えば午前中にプール、昼食、午後にお話を聞くとか。外に散歩にでかけて季節を感じたり。
肢体不自由のクラスは朝一番にリハビリのような体をほぐしたり動かしたりする時間もあるよ。
そして、授業の合間に看護師さんが胃ろうの注入や吸引などのケアをしてくれる。
ーー通知表はどんなことが書いてあるの?
めぐみ:通知表は全て文章でかなり細かく書いてくれる!
その子なりの成長を大切にしてくれて、それぞれのペースが守られている。
個性を生かした支援をしてもらえている実感があるよ。
外出中大変なことは?
めぐみ:ケアする場所を確保することかな。
ショッピングモールやスーパーなど人の往来があるところだと、通路の端の方とか、人の邪魔にならないところに移動して吸引をしたり。
学校送迎や通院の最中、めいと二人で車に乗っているときに痰が出たときには、すぐ吸引をしなければいけないから、路肩に車を停めて車内で対応しなきゃいけなかったり。
医療的な行為をしながら出かけることに慣れるまでは、車を一時停止させるのも誰かの迷惑になるかもしれないと思ったし、何かあったらと思うと怖くて大変だったな。もう慣れたとはいえ、怖いなと感じることは正直、ある。
あとはおむつを替えられる、大きなベッドのあるトイレが少ない…。車椅子マークが書いてあっても中には赤ちゃんのおむつ交換用ベッドしかないことが結構多いの。大きなベッドのあるトイレは貴重。
手伝ってくれたら嬉しいことは?
めぐみ:開きっぱなしで固定できないタイプのドア開けつつ車椅子を押して通るのが大変…もし気が付いてくれたらドアを開けて待っていてもらえるととても嬉しいです!
ちょっとした手助け、気遣い、もう、泣くほど嬉しい!
今までで一番辛かったことは?
めぐみ:やっぱり、障害が残る原因になった、生後7か月の心肺停止。
先生も看護師さんもみんな命の危機は脱したと和やかな雰囲気で、いよいよ退院という話が出ていたところから急転直下、どん底に突き落とされたように感じたなぁ…
あと、めいが1歳2か月でようやく退院することができてから療育に繋がるまでの約8か月間の生活が辛かった。
めいは常に泣いてるか、吐いているか、発作を起こしているかという感じだった。
抱っこしていないと寝てくれなくて、私もまとまって寝られるのは30分くらいで、昼も夜も寝てるのか起きてるのか分からなくて細切れにウトウトするだけで、どういう生活をしていたのか、なぜかはっきりとは記憶がない。過酷で辛い日々だったことしか思い出せない…
でも療育に通い始める少し前から薬の調整がうまくいき始めて、発作も抑えられて体調のコントロールもできるようになってきてね。
療育に通い始めてから友達もできて、そこから大変ではあったけど、辛くはなくなっていった。孤独じゃないってすごいなって思ったよ。
今困っていることは?
めぐみ:医療的ケア児の支援について回る看護師配置問題かな…。そのひとつとして例えば、養護学校(特別支援学校)のスクールバスに乗れないこと。スクールバスには看護師配置がないからめいは乗れないの。
医療的ケア児の通学保障問題は各地で問題として挙げられていて、他県の学校で福祉タクシーを使った送迎とか、色々な試みが進み始めているし、うちの県でもようやく実証実験に着手し始めたところ。もしかしたらめいの在学中には無理かもしれないけど、後に続く子達の為にも環境が整えば嬉しいなぁ。
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めいちゃんのイケアジクエスト風イラスト
イケアジクエスト風と言ってよいのかはわかりませんが…笑
元ネタはこちらです。
イラストでパッと見てわかれば、目を留めてくれる人が増えてよりたくさんの人にめいちゃんのことを(重症心身障害児のことを、医療的ケア児のことを)知ってもらえるかなと思って描いてみました。
めいちゃんの装備
めいちゃんの装備の詳細
見てくださいこの荷物の数を…!めいちゃんが生きていくにはこれだけの機器や道具が必要だということが一目でわかる…ように描いたのですが、うまく伝わっているだろうか。
そして外出時にはこれらのほとんどを持っていかなければなりません。車いすに乗せて移動するにしても、これだけの荷物なので用意も移動も大変でしょうね。
インタビューでめぐみさんも話していたように、めいちゃんのような子を見かけて助けがあったら嬉しいだろうなと感じたときには、扉を開けておくなどの配慮をしたいと思いました。
終わりに
きょうちゃんと同じ医療的ケア児とはいっても、自分の子どもがやっていない医療的ケアについては知らないことばかりで、今回イラストを描くにあたって初めて知ったこともたくさんありました。
また、インタビューの中ではめぐみさんが話してくれた、
「ほとんどわかっていないから声を掛けないかと言えばそうじゃないよね。猫や赤ちゃんとか、お腹の中の赤ちゃんとか、言葉はわからないけど気持ちの面で通じ合える存在にでも、コミュニケーションをとろうとするわけで。めいのような重心児とのコミュニケーションもなんとなくそんな感じかなって。」
というお話が印象的でした。
ああ、そうだよねと。会話は出来ないかもしれないけど、言葉一つ一つを理解しているわけではないかもしれないけど、話しかけずにはいられないよなあって。愛しい我が子なんだもんなあって。私もきっとそうするだろうなと思いました。
知らないこと、わからないことに対しては壁を作ってしまいがちです。
私自身、障害のある子どもを産むまでは自分とは関係のない世界の話だと、興味を持てませんでした。なんだか知るのがこわいなと思う気持ちもあったように思います。
でも障害や病気を抱える息子の母親になって、子どものことを知って欲しい、存在を認めて欲しいという思いがあることに気づいたのです。(みんながみんなそうではないと思うけれど)
この記事が重心児や医ケア児のことを知るきっかけや理解を深めるきっかけになっていたらとても嬉しいです。
ここまで読んでくださってありがとうございました!
そしてめぐみさん、イラストに関わるお話やインタビュー、写真などなどたくさんのご協力ありがとうございました!
もっともっと知りたい方はめぐみさんのブログ「ぼくらはみんな生きていく」へ!
※イラストを描いて欲しいというありがたいメッセージをいただいたことがありましたが、現在は依頼を受けることはしておりません。
身内じゃない人を描くのはとても楽しかったのですがなかなか妥協できるものが描けず、ものすっっっごい時間がかかってしまったのです。めぐみさんにかなり時間をいただきました。
いつかそういう企画をする可能性はあるかもしれませんが、今のところ考えておりません。なにとぞご了承ください。
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